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革靴の傷の直し方 | 傷の深さ別に対処法を解説

革靴に傷がついたとき、まず何をすべきか迷うことがあると思います。

ひとくちに「傷」といっても、革のどの層まで影響が及んでいるかによって、使う道具も手順もまったく異なります。

傷の種類を見誤ると、適切な修復ができないだけでなく、状態を悪化させることにもつながります。

この記事では、傷の深さの見分け方と、種類に応じた修復手順を解説します。

傷の深さ(表面の擦れ・浅い傷・深い傷)の違い

革靴の傷は、革のどこまで影響が及んでいるかによって 3 種類に分けられます。

修復の方針を決める際に、まず自分の靴についている傷がどのタイプかを確認してください。

1. 表面の擦れ

革靴の表面の擦れ

「表面の擦れ」は最も軽い傷です。革の表面にある銀面層(革の繊維が密に詰まった層)が擦れて、色や艶が失われた状態です。

表面の形状は変わっておらず、色が薄くなっている、または白っぽく曇って見えてしまっているだけであれば、この「表面の擦れ」と判断してください。

擦れている表面を整えるだけで直すことができます。

2. 浅い傷

革靴の浅い傷

「浅い傷」は、革の仕上げ層を超えて銀面層に達し、肌が荒れている状態です。

革の表面の段差や変形は軽微であっても、削れた部分の繊維の色が見えてしまっているのであれば、この「浅い傷」と判断してください。

こちらも比較的少ない道具で自宅で補修することができます。

3. 深い傷

革靴の深い傷

「深い傷」は、傷の部分の革の繊維がめくれている、またはえぐれているような状態です。

浅い傷とは異なり、傷に立体的な変形が生じているため、クリームやワックスだけでは表面を整えることができません。

こちらは補修が難しいため、プロに相談する必要があります。詳しくは後ほど解説します。

「表面の擦れ」の直し方

表面の擦れは、色が不均一になってしまっている状態を直し、表面の色と艶を補えばきれいな状態になります。

用意する道具

革靴の表面を擦れを直すのに必要な道具

用意する道具はいずれも基本的なシューケア用品なので、持っていない場合はこれを機に揃えておくと、日々のケアにも使うことができます。

  1. 馬毛ブラシ:表面についた埃やゴミを払い落とすのに使用します。

  2. クリーム:靴の色に合わせた色のクリームを用意します。色選びに悩んだら、靴よりもやや薄めのクリームを選ぶのがおすすめです。色が完全に一致しなくても、近い色であれば馴染ませることができます。

  3. :仕上げに使用します。柔らかい綿素材のものが適しています。古い T シャツを適当な大きさに切ったものでも問題ありません。

それではこれらの道具を使って実際に補修する手順をご紹介します。

手順 1:馬毛ブラシで汚れを落とす

最初に、馬毛ブラシを使って擦れの周りについた埃やゴミを落とします。

手首のスナップを利かせ、靴の表面を払うようにブラシを動かすのがコツです。

手順 2:クリームを塗る

クリームを少量、布または指に取ります。

擦れて色が薄くなっている部分に浸透させるようなイメージで、クリームを塗り込みます。

その後、1 〜 2 分ほど放置して、クリームを乾かします。

手順 3:布で磨く

クリームが乾いたら、布で磨きます。

ゴシゴシ擦るというより、優しく撫でるようなイメージで乾拭きしてください。

乾拭きで余分なクリームを拭き取ることでクリームの薄い層ができ、色味が整います。

Note
手順 2 〜 3 を終えた時点でまだ擦れが目立つ場合は、目立たなくなるまで同じ工程を繰り返します。

繰り返しても改善が見られない場合は、「浅い傷」に該当するケースが考えられますので、次にご紹介する浅い傷の直し方を試してみてください。

「浅い傷」の直し方

浅い傷は、クリームで補色したうえに、傷を埋めるようにワックスを重ねることで、きれいな状態に戻ります。

用意する道具

革靴の浅い傷を直すのに必要な道具

「表面の擦れ」を直すのに用いた 1 〜 3 に、ワックスが加わります。

  1. ワックス:ワックスの層を少しずつ重ねることで、傷を目立たなくしていきます。クリームと同様に、色付きのものを選んでください。

それではこれらの道具を使って実際に補修する手順をご紹介します。

手順 1:馬毛ブラシで汚れを落とす

馬毛ブラシを使って傷の周囲についた埃やゴミを落とします。

手首のスナップを利かせ、靴の表面を払うようにブラシを動かすのがコツです。

埃やゴミを落としておくことで、ワックスの定着が良くなり、仕上がりがきれいになります。

手順 2:クリームを塗る

クリームを少量、布または指に取り、傷の部分に塗ります。

荒れた繊維層にしっかりと刷り込み、色が抜けている部分が分からなくなるまで塗り込みます。

手順 3:布で磨く

布の汚れていない面を使い、表面を磨きます。

強く擦るのではなく、優しく撫でるようなイメージで磨いてください。

クリームがベタついてうまく磨けない場合は、水を一滴たらしてください。すべりがよくなり、磨きやすくなります。

手順 4:ワックスを塗る

ワックスを少量、布や指先に取り、傷の表面に塗り込みます。

傷の表面が埋まるまで、ワックスを取り、傷に塗り込む作業を繰り返します。

ワックスは、乾くことで固形化し定着します。塗り込んだあと、2 〜 3 分ほど置いて乾かしてください。

手順 5:布で磨く

ワックスを乾かしたら、布を使って表面を整えます。

クリームと同様に水を一滴つけて磨くと、滑りが良くなってワックスの層を整えやすいです。

強くこするとワックスを剥がしてしまうため、優しく表面を撫でるように磨くのがコツです。

まだ傷が目立つ場合は、目立たなくなるまで手順 4 〜 5 を繰り返します。

「深い傷」はプロに相談を

深い傷の修復は、自宅での対応が難しいケースがほとんどです。

用意する道具が多いことに加え、それぞれの工程に専門的な判断が求められます。知識や経験がないまま作業を進めると、傷をさらに悪化させるリスクがあります。

したがって、深い傷についてはプロの修理工房に持ち込んで補修をしてもらってください。

以下にその理由を詳しく解説します。

1. 革の色に合わせた調色が必要になる

深い傷の修復では、えぐれた部分を埋めたあとに、革の色に合わせた補色が必要になります。

既製の補色用クリームも市販されてはいますが、革の色とわずかでも違うと、修復した部分が周囲と馴染まず、かえって目立つ仕上がりになります。

そのため、実際には複数の補色用クリームを混ぜて革の色と合わせる調色の技術が必要になります。

これは経験がなければ再現が難しい作業です。

2. 用意する道具が多く、作業に時間がかかる

複数の補色用クリームに加えて、他にも揃えるべき道具が複数あります。

また、レザーフィラーと呼ばれるパテ状の補修材を使って革の傷を埋める作業に、長い時間がかかります。

レザーフィラーの薄い層を乾かしながら傷を埋めていく作業に、数時間、場合によっては数日かかります。

道具を揃えるコストと作業にかかる時間を考えると、修理工房に依頼するほうが現実的です。

3. 失敗すると、その後の補修がさらに難しくなる

誤った方法でレザーフィラーを塗ると、乾いたあとに割れたり、周囲の革との質感の差が生じたりします。

一度塗ったレザーフィラーを完全に除去することは難しく、やり直しがきかない状態になるケースもあります。

中途半端に作業を進めた靴は、修理工房に持ち込んだ際にも対応が難しくなることがあります。手を加えず、そのままの状態で依頼するほうがよいです。

よくある質問

表面の擦れ、浅い傷、深い傷の修復に関して、よく寄せられる疑問にお答えします。

Q. 「表面の擦れ」はブラッシングだけで消えますか?

A. ブラッシングだけでは色は戻りません。

表面の擦れは、革の仕上げ層の色が失われた状態であるため、補色できるクリームを使うことが必要です。

ブラッシングはクリームを塗布した後の工程であり、それだけでは修復にはなりません。

Q. すでに家庭にある道具で革靴の傷は補修できますか?

A. 家庭用の道具で革靴の傷は補修できません。

下記の家庭用品を使った傷の補修方法がよく紹介されていますが、いずれも補修はできませんし、傷を悪化させるリスクがあります。

  • ワセリン:革への浸透性が低く、補色効果もないため修復にはなりません。
  • 消しゴム:表面の汚れを除去する作用はありますが、摩擦による熱や圧力が革のコーティングをさらに傷める可能性があります。
  • 食器用洗剤:洗浄力が強すぎるため、革の油分を必要以上に奪い、乾燥やひび割れのリスクを高めます。
  • ホワイトビネガー:酸性のため、革の表面仕上げを変色・劣化させる可能性があります。
  • メラミンスポンジ:研磨作用があるため、革の表面仕上げを削り取るリスクがあります。

これらの道具を使うのではなく、ぜひ専用の道具を使って補修を行ってください。


革靴の傷の補修で最も大切なのは、自分で直せる傷と、プロに委ねるべき傷を見極めることです。

表面の擦れや浅い傷であれば、ご紹介した道具と手順で十分にきれいな状態に戻すことができます。一方、深い傷については無理に手を加えず、修理工房に相談してください。

この記事が、お手元の一足と長く付き合っていくための助けになれば幸いです。

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