Skip to content

スエードブラシの使い方:5 種類の特徴と使い分けを解説

スエード靴の手入れについて調べると、さまざまな種類のブラシが出てきます。

「結局どれを使えばいいのか」と迷う方は少なくありません。

スムースレザーの靴であれば、ブラシで埃を払い、クリームで栄養を与える。手入れの軸は、クリームにあります。

しかし、スエードにクリームは使いません。汚れ落としから毛並みの修復、仕上げまで、ブラシだけで完結するのがスエードケアの特徴です。

だからこそ、場面に応じたブラシの使い分けが大切になります。

この記事では、以下の 4 種類のブラシにスエード用消しゴムを加えた、5 つの道具の特徴と使い方を解説します。

  1. 豚毛ブラシ
    • 重要度:★★★★★
    • 主な役割:日常の埃落とし・仕上げの整毛
  2. クレープブラシ
    • 重要度:★★★★☆
    • 主な役割:表面の汚れ・傷やスレの解消
  3. 真鍮ブラシ
    • 重要度:★★★☆☆
    • 主な役割:頑固なテカリや固着汚れの解消
  4. 多機能型ブラシ
    • 重要度:★★☆☆☆
    • 主な役割:1 本で一通りの手入れをこなす
  5. スエード用消しゴム
    • 重要度:★☆☆☆☆
    • 主な役割:ピンポイントで汚れを落とす

これからブラシを揃えるという方は、日常的に使う「1. 豚毛ブラシ」と、軽い汚れやスレを解消する「2. クレープブラシ」の 2 本で、大半のケースに対応できます。

その上で、クレープブラシでも落としきれない頑固なテカリや固着汚れが出てきたときに「3. 真鍮ブラシ」を加える。この順番で揃えていくのがいいでしょう。

1. 豚毛ブラシ:日々の埃を払い落とす

豚毛ブラシ

スエードケアの基本として、まず揃えておきたいのが豚毛のブラシです。

日常的な埃落としや、毛並みを整えるのに使用します。

豚毛特有のしっかりとしたコシが、スエードの繊維についた埃を弾き出すとともに、乱れた毛足を力強く整えてくれます。

例えば以下のような、埃を被ったスエード靴も、この豚毛ブラシできれいになります。

埃を被ったスエード靴
埃を被ったスエード靴
Note
もし、すでにスムースレザー用に使っている馬毛ブラシをお持ちであれば、日常の軽い埃落としに使うことは可能です。

ただ、馬毛は、豚毛に比べて毛足が長く柔らかいため、スエードの奥に入り込んだ汚れを掻き出したり、寝てしまった毛足をしっかり立ち上げたりするには、あまり向いていません。

スエード本来の質感を長く維持したいのであれば、専用に豚毛ブラシを一本用意することをおすすめします。

豚毛ブラシの使い方

手順 1:埃を落とす

まず、靴全体の埃を払い落とします。

毛のコシを使って、靴の表面を払うようなイメージでブラッシングをします。

手順 2:毛の流れを整える

埃を払い落とした後は、ブラシを優しく動かして、毛流れを一定の方向に揃えます。

スエードは、毛並みの向きによって光の反射が変わる素材です。

毛並みが乱れていると、それだけで色ムラや汚れのように見えてしまいます。

最後に方向を揃えてあげることで、光の反射が均一になり、新品のような綺麗な質感になります。

2. クレープブラシ:表面汚れ・傷やスレを解消する

クレープブラシ

クレープブラシは、一般的な毛のブラシとは異なり、持ち手の先に「生ゴム」が植え付けられたスエード専用の道具です。

汚れの除去のほか、傷・スレ・黒ずみをきれいにするのに使います。

クレープブラシの構造を見ると、天然ゴムが波打つように重なっています。

ブラッシングを行う際、この波状のゴムがスエードの毛に絡みつき、ゴム特有の粘着力によって毛の奥まで入り込んだ汚れを絡め取ります。

また、ゴムの硬さで毛並みをしっかり立たせるため、以下のような傷やスレ、黒ずみもきれいにできます。

左:ひっかき傷、中:スレ、右:黒ずみ
左:ひっかき傷、中:スレ、右:黒ずみ

クレープブラシの使い方

手順 1:ブラシの角を使って傷・スレ・汚れを取る

ブラシの端や角を使い、傷やスレ、汚れが気になる箇所を重点的にブラッシングします。

傷や汚れが目立たなくなるまで、毛並みを荒らすイメージです。

手首のスナップを利かせながら、やや力を込めて動かすのがコツです。

手順 2:ライターで炙って毛足を揃える

次に、ライターでスエードの表面をサッと炙ります。

クレープブラシで強くブラッシングすると、押し潰されていた毛が起き上がる反面、毛並みの長さにバラツキが出てしまいます。

これをライターの火で軽く炙ることで、飛び出した余分な毛を焼き切り、均一で美しい質感に整えることができます。

Warning
一箇所にライターの火を当て続けると、革が焦げて修復不可能になります。

止まらずに手を動かし、表面を撫でるようにサッと炙るだけにしましょう。

手順 3:毛の流れを整える

汚れを落とし、毛足の長さを揃えたら、最後に毛並みを整えます。

あまり力を加えず、撫でるように一方向に優しくブラッシングをすることで、毛並みの方向を揃えます。

これで、乱れていた毛並みが整い、スエード特有のふっくらとした質感が戻っているはずです。

3. 真鍮ブラシ:頑固なテカリや固着汚れを解消する

真鍮ブラシ

真鍮ブラシは、細い真鍮のワイヤーでスエードの表面をわずかに削る、一歩踏み込んだケア用のブラシです。

表面の革が削られることで、豚毛ブラシやクレープブラシでは落ちにくい、頑固なテカリや固着した汚れも落とせます。

革を削る力があるということは、使いすぎれば革を傷めてしまうということでもあります。

ちょっとしたスレや汚れであれば、まずはクレープブラシで対応できないか試してみてください。それでも解消されない場合の、一歩踏み込んだ選択肢として活用するのがおすすめです。

以下のような強めのスレや固着した汚れには、この真鍮ブラシが力を発揮します。

左:強めのスレ、右:固着汚れ
左:強めのスレ、右:固着汚れ

真鍮ブラシの使い方

手順 1:優しく削って汚れを取る

まず、スレや汚れが付いた層を薄く削るようなイメージでブラッシングします。

いきなり力を入れ過ぎると深い傷が入ってしまう場合があるので、最初は優しくブラッシングします。

その後、様子を見ながら、スレや汚れが目立たなくなるまで徐々に力を加えるのがコツです。

Warning
ブラッシングの際は、靴を縫い合わせている「糸目(ステッチ)」を傷つけないよう細心の注意を払ってください。

金属製のワイヤーが糸やに引っ掛かると、一瞬で糸を毛羽立たせ、最悪の場合は切断してしまいます。

ステッチ付近をケアする際は、ブラシを当てる角度を調整し、直接ワイヤーが糸に干渉しないように操作しましょう。

手順 2:ライターで炙って毛足を揃える

次に、ライターでスエードの表面をサッと炙ります。

真鍮ブラシでブラッシングすると、押し潰されていた毛が起き上がり、毛並みの長さにバラツキが出てしまいます。

これをライターの火で軽く炙ることで、飛び出した余分な毛を焼き切り、均一で美しい質感に整えることができます。

Warning
一箇所にライターの火を当て続けると、革が焦げて修復不可能になります。

止まらずに手を動かし、表面を撫でるようにサッと炙るだけにしましょう。

手順 3:毛の流れを整える

スレや汚れが取れたら、最後に毛並みの方向を整えます。

長いストロークで、優しく撫でるようなイメージでブラッシングするのがコツです。

全体の毛並みの方向が整ってきたら、これで手入れは終わりです。

4. 多機能型ブラシ:1 本で一通りの手入れをこなす

多機能型ブラシ

多機能ブラシは、商品によって多少の違いはありますが、主に以下のような面で構成されていることが多いです。

  • 真鍮とナイロンの混合ブラシ
  • ゴムブラシ(ゴムの突起が並んだ面)
  • ヘラ状のゴムブラシ

それぞれ役割が違うため、これ一本で幅広いメンテナンスが可能です。

ですが、私は普段あまりこのブラシを使いません。一本で色々な効果を狙っている分、個々の作業においては専用ブラシよりも使いにくいと感じる場面があるからです。

とはいえ、一通りのケアができるので、旅行先などに持っていくには便利な一本です。

では、各面の使い方についてご紹介します。

4-1. 傷やスレ、表面汚れを取る「真鍮とナイロンの混合ブラシ」

真鍮とナイロンの混合ブラシ

この面は、真鍮とナイロンの混合毛でできており、「傷やスレ、汚れを落とす」役割と「毛並みを整える」役割を同時に持っています。

真鍮ワイヤーの部分で傷やスレ、汚れを削りつつ、周囲のナイロン毛でそのカスを払いながら毛並みを整えるイメージです。

真鍮とナイロンの混合ブラシの使い方

手順 1:真鍮部分で傷やスレを削る

真鍮のワイヤー部分を革の表面に当て、テカリや汚れを薄く削るように動かします。

真鍮の硬さによって、寝てしまった毛を引き起こし、固まった汚れを剥がし落としていきます。

手順 2:ナイロン部分で毛並みを整える

削り取った汚れを周囲の毛で払い落としながら、毛並みを一定の方向に揃えます。

これで、手入れは終わりです。

4-2. テカリや固着汚れを取る「ゴムブラシ」

ゴムブラシ

こちらのゴム製の突起が並んだ面は、「表面のテカリ」や「固着汚れ」などを解消するのに適しています。

押し潰されて寝てしまった毛を強力に引き起こすことで、テカリを解消し、表面にこびり付いた頑固な汚れを落とします。

ゴムブラシの使い方

手順 1:ゴムブラシでテカリや固着汚れを取る

ゴムの面を使い、傷や汚れが気になる箇所を重点的にブラッシングします。

ゴムが持つ摩擦力を使うことによって、毛足をしっかり根元から起こします。

傷やスレ、汚れが目立たなくなるまで、入念にブラッシングしましょう。

手順 2:混合ブラシで毛の流れを整える

汚れが取れたら、毛のブラシの面を使って全体の毛並みを整えます。

一方向に優しく撫でるようにして、毛の流れを揃えたら手入れは終わりです。

4-3. 細かい部分を掃除する「ヘラ状のゴムブラシ」

ヘラ状のゴムブラシ

こちらのヘラ状のブラシは、革の縫い目(ステッチ)付近やコバ周りなど、大きな面では届かない箇所を掃除するためのものです。

ヘラ状のブラシの使い方

綺麗にしたい部分にゴムの突起部分を当て、擦るように動かします。

少し力を加えながら動かすのがコツです。

汚れが完全に目立たなくなるまで、入念に擦ります。

5. スエード用消しゴム:汚れをピンポイントで落とす

スエード用消しゴム

スエード用消しゴム(イレーザー)は、ピンポイントで汚れを落とせる道具です。

消しゴムの中には細かい研磨粒子が含まれており、いわば「目の細かいヤスリ」のようなもので、汚れを物理的に削り落とします。

表面を削るという意味では、真鍮ブラシと同じ役割ですが、消しゴムの最大の利点は、狙った場所をピンポイントで、かつ安全に手入れできる点にあります。

真鍮ブラシは金属ワイヤーが糸に引っかかるリスクがあるため、以下のようなステッチ付近の汚れに対して使うには神経を使います。

ステッチ付近の汚れ
ステッチ付近の汚れ

この消しゴムであれば、ステッチのすぐそばにある汚れも安全に、正確に削り落とすことが可能です。

とはいえ、活用できる場面はかなり限定的になるので、他のブラシよりは重要度は低めです。

スエード用消しゴムの使い方

手順 1:消しゴムで汚れを絡めとる

汚れが気になる箇所に消しゴムの角を当て、少しずつ力を加えながら擦ります。

強く擦りすぎると、逆に革に汚れを刷り込んでしまう場合があります。様子を見ながら、表面の汚れの層を取るイメージで、慎重に行いましょう。

手順 2:削りカスをブラシで落とす

消しゴムから出た削りカスを、ブラシを使って払い落とします。

スエード繊維の奥に削りカスが残っていると、それがまた汚れの元になってしまいます。

豚毛ブラシを使い、削りカスを完全に払い落とします。

これで、消しゴムを使った手入れは終わりです。


ここまで紹介した道具の特性と、使うべきシチュエーションを改めてまとめました。靴の状態に合わせて、最適な 1 本を選んでください。

  1. 豚毛ブラシ
    • 重要度:★★★★★
    • 主な役割:日常の埃落とし・仕上げの整毛
  2. クレープブラシ
    • 重要度:★★★★☆
    • 主な役割:表面の汚れ・傷やスレの解消
  3. 真鍮ブラシ
    • 重要度:★★★☆☆
    • 主な役割:頑固なテカリや固着汚れの解消
  4. 多機能型ブラシ
    • 重要度:★★☆☆☆
    • 主な役割:1 本で一通りの手入れをこなす
  5. スエード用消しゴム
    • 重要度:★☆☆☆☆
    • 主な役割:ピンポイントで汚れを落とす

「ヌバック」にも同じブラシを使える?

上:スエード、下:ヌバック
上:スエード、下:ヌバック

スエードと非常によく似た素材に「ヌバック」という革があります。

市販されているスエード専用の手入れ用品の多くは、ヌバックにも併用できるよう作られています。

ただし、スエードよりも慎重に扱う必要があります。

スエードが「床面(とこめん)」と呼ばれる革の裏面を毛羽立たせた素材であるのに対し、ヌバックは「銀面(ぎんめん)」と呼ばれる革の表面を、目の細かいヤスリで削って仕上げた素材です。

ヌバックはスエードよりも毛足が極めて短く、ベルベットのようなシルキーな質感を持っています。

この繊細な質感を損なわないために、以下の点に注意してください。

豚毛ブラシ・クレープブラシは軽い力で

ヌバックを手入れする際は、とにかく軽い力でブラッシングすることが重要です。

ヌバックは傷がつきやすく、摩擦でテカリも発生しやすい素材なので、力を込めると毛並みの質感が変わってしまう恐れがあります。

軽いタッチを心がけるだけで、ヌバックの美しさは長く保てます。

真鍮ブラシ・消しゴムを使うときは細心の注意を

真鍮ブラシや消しゴムのように、表面を削る道具を使用する場合は、細心の注意を払ってください。

ヌバックは、革の表面を削ることで起毛させています。深く削ってしまうと、中から粗い繊維の層が出てきます。

強力な道具で削りすぎてしまうと、ヌバック特有の繊細な質感が失われ、毛並みが粗くなってしまうのです。

一度の使用ですぐにヌバックの質感がなくなるわけではありませんが、常用は避け、汚れがひどい時にだけ慎重に活用するようにしましょう。

よくある質問(FAQ)

スエードの手入れに関して、よくいただく質問にお答えします。

Q. 歯ブラシで代用することは可能?

A. 可能ですが、効率は良くありません。

歯ブラシは面積が小さいうえ、人の歯茎を傷つけないよう毛先が非常に柔らかく作られています。そのため、スエード全体の毛並みを整えるのには効率が悪く、傷やスレを解消するにはコシが足りません。

加えて、多くの歯ブラシは化学繊維(ナイロン等)で作られています。天然毛に比べて静電気が発生しやすく、擦れば擦るほど埃が革に吸着してしまうケースもあります。

ですので、できれば今回ご紹介したようなスエード専用の道具を用意するのがおすすめです。

Q. スエードのカバンやベルト、財布などの手入れは靴と同じでいい?

A. 基本的な手入れの仕方は同じですが、靴よりも慎重な力加減で行ってください。

カバンやベルトに使われるスエードは、靴用に比べて柔らかさや軽さを重視して仕上げられているものが多く、中には非常にデリケートなものもあります。

そのため、まずは柔らかい馬毛ブラシやクレープブラシで様子を見ながら手入れをしてみてください。

硬い真鍮ブラシは、革の表面を強く削りすぎて質感を損なう恐れがあるため、どうしても落ちない汚れがある場合にのみ、慎重に使用するようにしてください。

Q. 真鍮ブラシを使い続けると革の寿命を縮めない?

A. 見た目では分かりませんが、厳密に言えば、使うたびにほんの少しずつ革の寿命を縮めています。

真鍮ブラシは、表面をわずかに削ることで毛並みを整える道具です。ブラッシングをするたびに、物理的に革の層を薄くしていることになります。

そのため、クレープブラシで落ちない強めのスレや、繊維に絡みついた固着汚れを取るときだけに用途を限定できればベストです。

日常的な埃落としは豚毛ブラシで行うなど、目的によって道具を適切に使い分けることが、革の寿命を延ばすコツです。

Q. 黒ずんだクレープブラシを復活させる方法は?

A. 汚れた面を削り落とすことで、吸着力が戻ります。

クレープブラシのゴム面が汚れたまま使い続けると、吸着した汚れを別の場所に広げてしまう恐れがあります。

汚れが目立ってきたら、ハサミで汚れた先端を数ミリカットするか、コンクリートの地面やサンドペーパー(ヤスリ)で軽く擦ってみてください。

表面の汚れた層が取り除かれ、新しいゴムの面が出ることで、本来の吸着力が復活します。


スエードの手入れは、道具の選択と力加減がすべてです。

まずは豚毛ブラシとクレープブラシの 2 本を手元に置き、日々のケアを始めてみてください。それだけで、スエード靴のコンディションは大きく変わります。

この記事が、お手持ちのスエード靴を長く良い状態で履き続けるための参考になれば幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です