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スエード靴の染みを落とす方法|水染みと油染み、種類別の正しい対処手順

スエードの靴に染みができてしまったとき、どう対処すればよいか迷う方は多いと思います。

調べてみると、酢や重曹といった家庭にあるものを使う方法に行き当たることもありますが、これらは革にダメージを与えるリスクがあります。

スエードの起毛した表面は繊細で、扱い方を誤ると風合いそのものを損ねてしまいます。

この記事では、スエードの風合いを損ねることなく、安全に染みを落とす道具と手順をお伝えします。

スエード靴にできる 2 種類の染み

スエードの染みは、大きく「水染み」と「油染み」に分けられます。

この 2 つは、染みができるメカニズムが異なります。そのため、対処の方法も違います。

まずは、ご自身の靴の染みがどちらなのかを正しく見分けることが、適切な対処の出発点になります。

1. 水や雨、泥によってできる「水染み」

スエード靴にできた水染み

水染みは、雨や泥水、こぼれた飲み物などが、スエードに付いて乾いたあとにできます。

スエードの表面は、革を細かく起毛させた作りになっています。

ここに水が染み込むと、水に溶けた汚れや革の染料などが毛の奥へ入り込みます。

乾くとそれらが一部に偏って残り、色の濃い部分と薄い部分のムラができます。

油染みと比べて染みの色がやや薄く、輪のような形状になっていることが多いです。

2. 油汚れによってできる「油染み」

スエード靴にできた油染み

油染みは、料理が足元にこぼれたり、自転車やバイクの潤滑油が気づかないうちに付いたりと、油分がスエードに付いたときにできます。

油は水と違い、染み込んでも蒸発しません。繊維に残った油分が光の反射を変え、まわりと違う色に見えます。

水染みと比べると、輪郭がぼんやりとして、色が濃く見えることが多いです。

時間が経つと油が固まり、落ちにくくなります。早めの対処が大切です。

それでは、それぞれの染みの落とし方を解説します。

スエード靴の水染みの落とし方

水染みは、靴全体を均一に濡らしてから乾かすことで落とします。

部分的に濡らすだけでは、濡らした部分と乾いた部分の境目に、新たなムラができてしまいます。

そのため、染みのある箇所だけでなく、靴全体を洗います。水を行き渡らせながら、繊維にたまった汚れも一緒に落とします。

こうすることで、乾いた後にムラのないきれいな状態になります。

必要な道具

スエード靴の水染みを落とすのに必要な道具

1. シューキーパー

洗ってから乾くまでの間、靴の形を保つために使います。

水を含んだスエードは柔らかく、型崩れしやすい状態になります。シューキーパーを入れて、本来の形を保持したまま作業します。

吸湿・消臭効果のある、木製のタイプがおすすめです。

2. 器(ボウル)

水を張るための器です。

靴を丸ごと浸すわけではないので、深さはそれほど必要ありません。

3. 柄付きブラシ

靴全体を濡らす際に使用します。

起毛の奥まで届くよう、毛先にほどよいコシのあるものが向いています。

コシが強すぎると繊維を傷めるため、硬すぎず柔らかすぎないブラシを選んでください。

4. スエード専用シャンプー

靴全体を洗うときに使う、専用のシャンプーです。

スエードは、一般的な洗剤に含まれる界面活性剤などで、色落ちや硬化を起こしやすい素材です。

専用のシャンプーは、こうした特性を踏まえて作られています。

この記事では、サフィールのオムニローションを使っています。

5. クレープブラシ

靴が乾いた後、寝てしまった毛並みを起こすために使います。

クレープブラシは、毛の部分がゴムでできた、スエード専用のブラシです。

水洗いのときだけでなく、日ごろの手入れにも使います。もしお持ちでなければ、これを機に用意しておくと重宝します。

6. 豚毛ブラシ

最後の仕上げに使います。

豚毛は、馬毛などに比べてコシがあり、スエードの毛並みを一方向に整えるのに向いています。

クレープブラシと同じく、日ごろの手入れにも活躍してくれるブラシです。

ブラシの種類ごとの特徴や使い分けは、スエードブラシの使い方:5 種類の特徴と使い分けを解説で詳しく解説しています。

手順 1:靴紐を外し、シューキーパーを入れる

まず、靴紐を外し、シューキーパーを入れます。

水洗い中に靴の形が崩れると、乾いた後に型崩れが残ります。そのため、シューキーパーで靴の形を保持した状態で作業します。

手順 2:靴全体を水で濡らす

器に水を張り、柄付きブラシを使って靴全体を濡らします。

濡れていない箇所が残らないよう、全体をまんべんなく濡らしてください。

スエードが水を弾く場合は、ブラシで軽くなじませると、均一に濡らすことができます。

履き心地が変わってしまうため、靴の中まで濡らさないように注意してください。

手順 3:スエード専用シャンプーで洗う

スエード専用シャンプーを適量ブラシに取り、力を入れすぎないように靴全体を優しくブラッシングします。

染みの箇所だけを集中的に強くこすると、その箇所だけ繊維が傷む場合があります。

全体を同じ力加減で洗うのがポイントです。

手順 4:水でシャンプーを洗い流す

水でシャンプーを洗い流します。泡が残らないように、丁寧にすすいでください。

このときも靴の中に水が入らないように気をつけてください。

手順 5:乾かす

風通しの良い日陰で、自然乾燥させます。

直射日光や暖房器具の近くに置くと、急激な乾燥によって、革の硬化や色ムラの原因になります。

完全に乾くまでには、素材の厚さや環境によって異なりますが、2 〜 3 日ほどかかります。

手順 6:クレープブラシで毛並みを起こす

手で触り、完全に湿り気がなくなったことを確認してから、クレープブラシで全体をブラッシングします。

洗ったあとは、毛並みが寝てしまっています。

クレープブラシで毛並みを起こすことで、スエードの温かみのある質感が元通りになります。

手順 7:豚毛ブラシで毛並みを整える

最後に、豚毛ブラシで全体をブラッシングして毛並みの方向を整えます。

つま先から踵方向、または踵からつま先方向で、ブラシを一定方向に動かして、毛並みが揃った状態で仕上げます。

毛並みが揃うことで、スエード本来の質感と色が均一に見えるようになります。

スエード靴の油染みの落とし方

油染みは、繊維に染み込んだ油分をコーンスターチに吸着させることで取り除きます。

コーンスターチとは、食用のデンプン粉末で、油分を吸着する性質があります。これを使うことで、スエードの繊維を傷めずに油分を取り除くことができます。

ただし、油分の吸着には時間がかかります。作業は 2 〜 3 日程度みておいてください。

必要な道具

スエード靴の油染みを落とすのに使うコーンスターチと豚毛ブラシ

1. コーンスターチ

食品売り場で入手できる、一般的なコーンスターチを用意します。

細かい粉末状であることが、繊維の隙間に入り込んで油分を吸着するために重要な条件になります。

2. 豚毛ブラシ

コーンスターチを払い落とすために使用します。

豚毛ブラシなら、粉末を繊維の奥に押し込むことなく、優しく払い落とせます。

手順 1:染みの上にコーンスターチを乗せる

染みの上にコーンスターチを乗せます。

コーンスターチが油分を吸着するためには、繊維の表面に十分な量が接触している必要があります。

薄くかけるよりも、染みが十分に隠れるくらいの量を乗せる方が効果的です。

そのまま数時間、可能であれば一晩置いておきます。

コーンスターチが繊維に染み込んだ油分を、時間をかけて吸着してくれます。

手順 2:豚毛ブラシで払い落とす

時間が経ったら、豚毛ブラシで優しくコーンスターチを払い落とし、染みの状態を確認します。

力を入れすぎると、コーンスターチがスエードの繊維に入り込んでしまうため、優しく表面を払うようにブラッシングしてください。

手順 3:繰り返す

一度の処置で染みが完全に落ちない場合は、手順 1 と手順 2 を繰り返します。

薄い染みであれば、2 〜 3 回できれいになることが多いです。

濃い染みや時間が経過した染みは、3 〜 4 回と繰り返し、徐々に染みを薄くしていく必要があります。

どれだけ繰り返しても改善が見られない場合は、油分が繊維に固着していて、これ以上自宅でのケアで落とすのは難しい可能性が高いです。

その場合は、スエード素材の取り扱いに対応した修理専門店に相談することを検討してください。

家庭用品(酢・重曹・食器用洗剤)の使用には注意してください

インターネットで「スエードの染み落とし」について調べると、酢や重曹、食器用洗剤を使う方法が数多く見つかります。

手軽に思えますが、革そのものを傷め、かえって状態を悪くすることがあります。

ここでは、特によく見かける 3 つの家庭用品について、その使用のリスクをお伝えします。

酢でスエードの染みは落とせる?

落とせる場合はありますが、別のトラブルの原因になるため、使用はおすすめしません。

酢は弱酸性の液体で、アルカリ性の汚れに化学的に作用します。

そのため、汚れの種類によっては、染みが薄くなることもあります。

しかし、スエードの革はタンニンやクロムで鞣されているため、酸性の液体を繰り返し当てると、繊維の組織そのものを傷める可能性があります。

さらに、酢自体が新たな染みになってしまう、酢独特の匂いがついてしまうなどのリスクもあります。

重曹はスエードに使っても問題ない?

スエードの質感を損なう恐れがあるため、使用はおすすめしません。

重曹は、細かな粒子による研磨剤としての性質を持っています。

スエードの起毛した表面を重曹でこすると、繊維が削れたり毛並みが乱れたりするなど、本来の風合いが失われる原因になります。

また、重曹はアルカリ性のため、革の色味に影響を与えることもあります。

染みを落とすつもりが、かえって見た目を損ねかねません。

食器用洗剤はスエードに使っても問題ない?

革の硬化や色落ちのリスクがあるため、使用はおすすめしません。

食器用洗剤には、油汚れを分解するための強い界面活性剤が含まれています。

食器の油脂を落とす力は、スエードの油染みに対しても同じように働きます。

ただ、同時に革に必要な油分まで奪ってしまい、繊維の硬化や色落ちにつながることがあります。

スエードの油染みにはコーンスターチのほうが安全です。


スエードの染みは、水染みと油染みで対処の方法が大きく変わります。

水染みは、靴全体を洗って、乾いた後のムラをなくします。油染みは、コーンスターチで油分を吸わせて取り除きます。

それぞれの染みに合った適切な対処を施すことで、スエードの風合いを損ねることなく染みが消え、元のきれいな状態に戻ります。

この記事が、ご自身の一足を永くきれいに履き続けるための一助になれば幸いです。

また、日ごろの手入れや、染みを防ぐ保護については、こちらで解説しています。あわせてご覧ください。

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